LEDビジョン・デジタルサイネージを活用したいとき、選択肢は大きく2つあります。街なかの既存の大型ビジョンなどに
「出稿」して広告を流すか、自分の店舗・ビルに
「自社設置」して自前のメディアを持つか。
「どちらが得か」は期間・露出量・立地によって答えが変わります。本記事では、両者の費用を分解し、
サイズ別・立地別に5年間のトータルコスト(TCO)を比較して、判断の材料を整理します。
2択
既存媒体へ「出稿」か、自前で「設置」か
TCO
本体だけでなく5年の総所有コストで比較
OPEX
運用維持費は初期費用の50〜100%に達することも
損益分岐
目安2〜5年で設置が有利になるケースが多い
本記事の金額・年数は、公開されている市場データや施工業者の情報をもとにした「目安」です。
実際の費用は、ピクセルピッチ・輝度・設置環境(寒冷地対応など)・立地・契約条件によって大きく変動します。
具体的な検討にあたっては、必ず現地条件をふまえた見積もりや各媒体社の最新料金をご確認ください。
⚠️ 重要な注記
本記事の費用・年数はあくまで一般的な「目安」です。実際の金額は仕様・立地・契約条件で大きく変わり、
相場も変動します。導入判断の際は、必ず自案件の条件で見積もり・試算を行い、専門業者にご相談ください。
🔀 1. 「出稿」と「自社設置」──2つの選択肢
まずは前提を揃えましょう。LEDビジョンを使う方法は、大きく次の2つに分けられます。
① 既存媒体に「出稿」する(メディア利用)
街なかの大型ビジョンや、商業施設・交通機関のサイネージネットワークなど、すでに設置されている媒体枠を購入して自社の映像を流す方法です。
初期投資が不要で、1日〜週・月単位から利用でき、短期・単発の販促やテストに向いています。
本体の維持管理・故障対応・電気代・申請などは媒体社側が負担するため、こちらは放映料と映像制作費だけを考えればよいのが利点です。
② 自前でLEDビジョンを「設置」する(所有)
自分の店舗ファサードやビル壁面・屋上などに、自社のLEDビジョンを購入・設置して常設メディアとして持つ方法です。
好きな時間に好きな映像を出せて、他社に枠を貸して広告収入を得ることも可能です。反面、
本体・施工・電気・申請などの初期費用に加え、
保守・電気代・減価償却といったランニングコストを自社で負担する必要があります。
ざっくり言えば、出稿は「短期・身軽・初期費用ゼロ」、自社設置は「長期・資産化・自由度」。
どちらが得かは、どれだけの期間・頻度で映像を出し続けるかで決まります。
💰 2. 費用の内訳を分解する
正しく比較するには、それぞれの費用が何で構成されているかを分解する必要があります。
特に自社設置は「本体価格」だけを見ると判断を誤りやすく、総所有コスト(TCO)で考えることが重要です。
出稿の費用(シンプル)
- 放映料(メディアバイイング):枠の掲載費。放映秒数・回数・期間・立地で変動する
- 映像制作費:流すコンテンツ(静止画・動画)の制作費。既存素材の流用なら抑えられる
自社設置の費用(多層的)
| 費用項目 |
区分 |
内容・目安 |
| 本体(LEDパネル) |
初期(CAPEX) |
ピクセルピッチ・輝度・屋内/屋外で単価が変動。屋外用は目安30万〜70万円/㎡、屋内用は10万円〜/㎡程度 |
| 制御・周辺機器 |
初期(CAPEX) |
コントローラー(ビデオプロセッサー)10万〜50万円、メディアプレイヤー数万〜十数万円が目安 |
| 施工(取付・架台) |
初期(CAPEX) |
取付工事5万円〜、鉄骨架台10万円〜。屋外壁面は足場、野立ては基礎工事で大きく増加 |
| 電気工事 |
初期(CAPEX) |
専用回路の敷設など10万円〜。大型は受電設備の増強が必要になることも |
| 申請・図面 |
初期(CAPEX) |
屋外広告物の許可申請手数料(面積・期間で変動)+図面・代行費3万〜10万円程度が目安 |
| 電気代 |
運用(OPEX) |
屋外用は消費電力が大きい。50インチ級で月1,000〜2,000円、180インチ級で月4万円前後が目安 |
| 保守・通信・CMS |
運用(OPEX) |
保守は1面あたり月3,000〜25,000円、CMS月4,000〜10,000円、通信月数千〜6,000円程度 |
| 減価償却 |
会計 |
本体は資産計上され、耐用年数(一般に5〜10年程度の運用寿命)にわたり費用配分される |
運用維持費(OPEX)は初期費用の50〜100%に達することもあると言われます。
「本体がいくら」ではなく、5年間で総額いくらかかるかで見比べることが、失敗しない比較の基本です。
📺 3. 出稿(広告掲載)の費用相場
出稿は媒体・立地・放映頻度で価格帯が大きく異なります。以下は公開事例をもとにした目安で、
実際の料金は各媒体社にご確認ください。
| 媒体タイプ(例) |
プラン例 |
費用の目安 |
| 地域密着型ネットワーク |
スーパー・ホテル等に1日約100回放映/1年契約 |
月額5,000円程度(税別)〜 |
| 小規模事業者向けプラン |
仙台・繁華街ビジョンの低価格プラン |
月額49,800円程度〜 |
| 都市型大型ビジョン |
15秒×40回/日・1か月契約(盛岡の事例) |
80,000円程度(税別) |
| 都市型・スポット |
15秒×2〜4回/時・7日間(仙台の事例) |
110,000〜220,000円程度(税抜) |
| 大型枠・年間契約 |
好立地ビジョンの年間契約 |
年間600万円程度(月額約50万円) |
このように、出稿は月5,000円の小口から年間数百万円の大型枠まで幅広く、
予算と目的に合わせて柔軟に選べるのが強みです。制作費を別途見込む必要はありますが、
初期投資ゼロで今日から露出を始められる手軽さは自社設置にはない魅力です。
🏗️ 4. 自社設置の費用相場(サイズ・立地別)
自社設置の初期費用は、規模と設置環境で大きく変わります。
屋内の小規模なら数十万円から、屋外の大型なら数百万〜数千万円規模になることも。以下はあくまで概算の目安です。
| タイプ(立地) |
規模イメージ |
初期費用の概算目安 |
| 屋内壁面(小規模) |
店内・ロビーの小型パネル。足場・防水不要 |
数十万円〜(本体+支持材+電気・システムで20万〜30万円で収まる例も) |
| 屋外ファサード(中規模) |
店舗軒先・低層階壁面。高所作業・防水・申請あり |
数百万円規模(本体+鉄骨架台+電気+足場+申請) |
| 屋外壁面(大規模) |
ビル2〜3階壁面の大型ビジョン |
数百万〜一千万円超。壁面強度調査・避雷・防水も加算 |
| 屋外自立(野立て) |
ロードサイドの独立看板。基礎土木工事が必須 |
工事費だけで100万円超も珍しくなく、総額は数千万円規模に達することも |
本体(平米単価)の目安
パネル本体はピクセルピッチと屋内/屋外で単価が変わります。屋外用は高輝度・防水のため高くなる傾向です。
| 種別 |
ピクセルピッチ |
平米単価の目安 |
| 屋外用(高精細) |
P2.5〜P3.0 |
約65万〜70万円/㎡ |
| 屋外用(標準) |
P6.0〜P10.0 |
約30万〜50万円/㎡ |
| 屋内用(標準) |
P2.0〜P2.5 |
約60万〜66万円/㎡(低精細なら25万円/㎡程度も) |
寒冷地・積雪地帯では、耐寒電源・結露/凍結対策・重耐塩塗装・積雪荷重対応などで部材コストが上乗せされます。
東北エリアなど過酷な環境での設置は、地域の気象条件に精通した業者に相談するのが安全です。
📊 5. 5年トータルコスト比較シミュレーション
ここが本記事の核心です。同じ露出を5年間続けるという前提で、
「出稿し続けた場合」と「自社設置した場合」のトータルコストを、サイズ・立地別の目安レンジで比較します。
数値はあくまでモデルケースの概算であり、実際は契約条件・立地・仕様で大きく変わります。
| ケース(規模・立地) |
出稿:5年トータル目安 |
自社設置:初期+5年運用の目安 |
目安のポイント |
小規模・地域密着 (月100回級の露出) |
月5,000円×60か月=約30万円+制作費 |
屋内小型なら初期20万〜30万円+運用(電気/保守で年数万〜十数万円) |
露出が小さい前提なら出稿が身軽。設置は自由度と資産性で選ぶ |
中規模・繁華街 (都市型ビジョン相当) |
月8万〜十数万円×60か月=約500万〜900万円+制作費 |
屋外中規模の初期数百万円+5年運用(電気・保守・申請更新)で合計数百万〜一千万円規模 |
露出量が大きいと出稿総額が膨らみ、設置と拮抗〜逆転しやすい |
大規模・好立地 (年間契約の大型枠) |
年600万円×5年=約3,000万円+制作費 |
屋外大型の初期一千万〜数千万円+5年運用で、総額でも出稿を下回る可能性 |
長期・大量露出なら設置+広告収入化でメリットが大きくなりやすい |
傾向として、露出量が小さく期間が短いほど出稿が有利、
露出量が大きく期間が長いほど自社設置が有利になります。
上表は目安の目安であり、正確な判断は必ず自案件の条件で試算してください。
運用(OPEX)を軽く見ないこと
自社設置の5年運用には、電気代・保守・CMS・通信・申請更新が含まれます。
たとえば屋外180インチ級なら電気代だけで月4万円前後、保守が月数千〜数万円、CMS・通信が月1万円前後。
これらが5年で数十万〜数百万円積み上がるため、初期費用に必ず上乗せして比較してください。
⚖️ 6. 損益分岐の考え方 ── 何年で設置が有利になる?
「何年で自社設置のほうが得になるか」は、次のシンプルな比較で求められます。
損益分岐の考え方
① 同等の露出を出稿で買い続けた場合の年間費用を出す
② 自社設置の初期費用と年間運用費を出す
③ 「初期費用 ÷(出稿年額 − 設置の年間運用費)」= 回収に必要なおよその年数
数値イメージ(あくまで例)
たとえば、同じ露出を出稿すると年間200万円かかる枠を、自社設置すると
初期500万円+年間運用60万円だとします。すると差額は年200万−60万=140万円。
500万円 ÷ 140万円 ≒ 約3.6年で初期投資を回収し、以降は設置のほうが有利になります。
| 条件 |
おおよその損益分岐 |
判断の目安 |
| 露出量が大きく好立地 |
2〜3年程度で逆転しやすい |
長期常設なら設置が有利。広告収入化も検討 |
| 中規模・標準的な露出 |
3〜5年程度が目安 |
常設予定なら設置、流動的なら出稿 |
| 露出量が小さい/稼働頻度が低い |
5年でも逆転しにくい |
出稿のほうが身軽で無駄が少ない |
なお、実際にはこれに加えて広告収入(他社への枠貸し)、減価償却による節税効果、
撤去・更新費用、機会損失(設置までの準備期間)なども考慮すると、より精緻な判断ができます。
🎯 7. ケース別おすすめ ── 短期・中期・長期
結論として、「使う期間と頻度」で選ぶのが最もシンプルです。
利用シーン別のおすすめを整理します。
| ケース |
おすすめ |
理由 |
短期イベント (数日〜数週間) |
出稿 |
初期投資ゼロで即開始。イベント終了後の資産・維持負担が残らない。テストマーケにも最適 |
中期販促 (数か月〜1年) |
出稿 or 併用 |
まず出稿で反応を確認し、効果が高ければ設置を検討。低価格ネットワークでフリークエンシーを確保する手も |
長期常設 (3〜5年以上) |
自社設置 |
初期費用を回収しやすく、自由な運用・ブランド強化・広告収入化が可能。ファサード強化に効果的 |
「所有」と「利用」の使い分け
自社店舗のファサード強化にはハードウェア購入(所有)が向き、
広域での認知獲得には既存ネットワークへのメディア利用(出稿)が費用対効果で優れる場合があります。
両者は排他ではなく、自社ビジョン+出稿の併用で、拠点での訴求と広域リーチを両取りする戦略も有効です。
迷ったら「まず出稿でテスト → 効果が続くなら設置で資産化」という順番が、リスクを抑えつつ費用対効果を高める王道です。
🏙️ 8. 立地で変わる「得」──都市別の視点
同じLEDビジョンでも、立地の交通量・視認率によって「得か損か」は大きく変わります。
好立地ほど出稿単価も高い一方、自社設置なら露出価値をそのまま自社の資産にできます。
視認率という「効果」の裏付け
大阪メトロでの実証実験では、デジタルサイネージの平均視認率が87.9%、
改札前など動線正面では90〜100%に達したという調査結果があります。
交通量の多い交差点(1日4万台以上の通行がある立地など)に設置された大型ビジョンは、
マスメディアに近い広域認知を獲得できるため、露出価値が高い=出稿単価も高い傾向にあります。
費用対効果(ROI)で考える
費用対効果は「かけた費用に対する売上貢献やコスト削減」で測ります。
店頭サイネージで対象商品の売上が数倍になった事例や、複数拠点のポスター掲示をデジタル一括配信に切り替えて
年間300万円以上の印刷コスト削減を実現した事例もあります。
「出稿か設置か」の判断は、コストだけでなく得られる効果(リーチ・売上・削減)とセットで考えることが重要です。
🔍 9. 見落としがちなコストと注意点
比較で失敗しないために、特に自社設置で見落とされやすいコストを挙げておきます。
- 高所修理のリスク:保守契約がないと、屋外高所のモジュール1枚交換に高所作業車が必要になり、修理費が数十万円に跳ね上がることがある
- 申請の更新:屋外広告物の許可には有効期間(通常2〜3年)があり、更新のたびに手数料と有資格者による安全点検報告が必要になる
- 電気代の変動:夜間フル輝度は光害・無駄電力の原因。自動調光や放映時間の最適化で運用コストを抑える設計が前提
- 寒冷地・沿岸部の加算:耐寒・結露・積雪・塩害対策で部材コストと工期(冬季は施工困難)が増える
- 撤去・更新費用:運用寿命(5〜10年程度)到来時の入替・撤去費も長期試算に含めるべき
- 出稿の空き枠・制作費:出稿側も、枠の空き状況や差し替え時の制作費が積み重なる点は要注意
「設置して終わり」ではなく、継続的な維持管理と点検・更新が設置者・管理者の責任です。
長期運用を前提とするなら、定額保守への加入で突発的な高額修理リスクを平準化するのが安全です。
📝 10. まとめ ── 判断チェックリスト
最後に、「出稿 vs 自社設置」を判断するためのチェックリストを整理します。
次の問いに答えるだけで、どちらが自社に向いているかの目安がつきます。
| チェック項目 |
「出稿」寄り |
「自社設置」寄り |
| 利用期間 |
数日〜1年程度 |
3〜5年以上の常設 |
| 初期投資 |
かけたくない/ゼロで始めたい |
投資して資産化したい |
| 運用体制 |
保守・管理は任せたい |
自社で運用・自由に更新したい |
| 目的 |
広域認知・テスト・単発販促 |
ファサード強化・ブランド・広告収入 |
| 立地 |
自社に好立地がない |
自社店舗が好立地にある |
結論:短期・身軽なら出稿、長期・常設で資産化したいなら自社設置。
判断に迷う中期は、出稿でテストしてから設置へが堅実です。金額・年数はすべて目安であり、
最終判断は必ず自案件の条件で試算・見積もりのうえ行ってください。
出稿でも設置でも、まず HaLVision に相談を
「うちの場合は出稿と設置、どちらが得?」——立地・期間・目的によって最適解は変わります。
LED VISION JAPANのAIチャットで概要を相談したり、東北エリアの導入・出稿は仙台国分町のLED VISION専門企業 HaLVision(TEL 022-703-1776)へお気軽にご相談ください。
よくある質問
Q: LEDビジョンは出稿と自社設置、結局どちらが安いですか?
A: 期間と利用頻度によります。短期・単発であれば、初期投資が不要で1日〜週単位から使える「出稿」が有利です。一方、常設で長期間(目安として3〜5年以上)継続して映像を出し続けるなら、初期費用を回収しきってしまえる「自社設置」のほうがトータルで安くなるケースが多くなります。ただし本体・施工・電気代・保守・申請などの総所有コスト(TCO)で比較する必要があり、立地や規模により大きく変わるため、あくまで目安としてお考えください。
Q: 自社設置の初期費用はどれくらい見ておけばよいですか?
A: 規模と設置環境で大きく変わります。屋内の小規模なものであれば数十万円から導入できる場合がありますが、屋外の壁面・野立ての大型ビジョンになると、本体・鉄骨架台・電気工事・足場・基礎工事・申請などを含めて数百万〜数千万円規模のプロジェクトになることも珍しくありません。屋外用LEDは平米単価30万〜70万円/㎡程度が一つの目安です(ピクセルピッチ・輝度・寒冷地対応などで変動します)。いずれも目安であり、必ず現地条件をふまえた見積もりをご確認ください。
Q: 出稿(広告掲載)の料金相場はどれくらいですか?
A: 媒体・立地・放映頻度で幅があります。一例として、都市部の大型ビジョンで15秒×一定回数/日の1か月契約が数万〜十数万円、地域密着型のネットワーク媒体では1年契約で月額5,000円程度という低価格プランもあります。仙台エリアの事例では、月額49,800円〜といった小規模事業者向けプランや、年間契約で月額数十万円という大型枠まで、価格帯は多様です。あくまで目安であり、実際の料金は各媒体社にご確認ください。
Q: 自社設置のランニングコスト(電気代・保守)はどれくらいですか?
A: 運用維持費(OPEX)は初期費用の50〜100%に達することもあると言われます。電気代は屋外用が高く、50インチ相当で月1,000〜2,000円程度、180インチ級の屋外ビジョンでは月4万円前後、大型では月数万〜十万円オーダーになる場合もあります。保守はディスプレイ1面あたり月3,000〜25,000円程度、CMS利用料が月4,000〜10,000円程度、通信費が月数千〜6,000円程度が目安です。自動調光や放映時間の最適化で電気代は抑えられます。
Q: 何年くらいで自社設置のほうが得になりますか?
A: 同等の露出を出稿で買い続けた場合の年間費用と、自社設置の初期費用+年間運用費を比較して損益分岐点を求めます。目安として、出稿を継続すると年数十万〜数百万円かかるような枠を、常設で自社化する場合、2〜5年程度で逆転するケースが多く見られます。露出量が大きく立地が良いほど早く、逆に稼働頻度が低いと分岐は遠のきます。数値は前提により大きく変わるため、必ず自案件の条件で試算してください。