LEDビジョン広告の映像品質は、掲出する画面のスペックだけでなく、入稿するデータの作り込みによって大きく左右されます。
解像度やアスペクト比が画面と合っていなければ映像は間延びしたり潰れたりし、ファイル形式やビットレートが規定外であれば再生されない、あるいは審査で差し戻されることもあります。
本ガイドでは、媒体ごとの入稿規定に沿ったデータ作成を前提に、解像度の考え方、静止画・動画の一般的な仕様、可読性の設計、屋外・大型ビジョン特有の注意点、入稿方法や審査までを実務目線で整理します。
なお、ここで示す数値はいずれも一般的な目安であり、実際の規定は媒体(掲出先ビジョン・広告会社)により異なります。必ず掲出先から提供される入稿規定書を最優先で確認してください。
実ピクセル
解像度を合わせる基準
15/30秒
一般的な動画尺の目安
MP4/H.264
一般的な動画形式
RGB
静止画のカラーモード
🧭 入稿の基本フロー
データ入稿は行き当たりばったりではなく、決まった手順に沿って進めることでミスと差し戻しを大幅に減らせます。まずは全体像を押さえましょう。
- 媒体規定の確認:掲出先ビジョンの解像度・アスペクト比・対応形式・尺・容量上限・締切・ファイル命名規則を入稿規定書で確認する。
- 制作:規定に合わせて静止画または動画を制作する(実ピクセルに合わせた解像度・RGB・指定の尺)。
- セルフチェック:解像度・比率・文字サイズ・コントラスト・尺・容量・形式が規定どおりかを確認する。
- 入稿:指定の方法(オンラインストレージ、専用フォーム、メール等)で締切までに提出する。
- 審査:媒体側の内容審査、屋外の場合は屋外広告物審査を受ける。必要に応じて修正・再入稿する。
- 放映:審査通過後、指定の放映期間・スケジュールで掲出が開始される。
ポイント:最も手戻りが多いのは「規定確認をせずに制作を始めてしまう」ケースです。制作着手前に必ず入稿規定書を入手し、解像度・形式・尺・締切の4点だけでも先に確定させておきましょう。
📐 解像度・アスペクト比の考え方
LEDビジョンの解像度は「画面の実寸(横×縦)」を「ピクセルピッチ(LED素子の間隔)」で割った実ピクセル数で決まります。
入稿データはこの実ピクセルに合わせて作成するのが基本です。ピッチが細かい(数値が小さい)ほど同じ面積でも解像度が高くなります。
解像度が決まる仕組み
- 横の解像度 = 画面の横幅(mm) ÷ ピクセルピッチ(mm)
- 縦の解像度 = 画面の高さ(mm) ÷ ピクセルピッチ(mm)
- 例:横4m・高さ2m、ピッチP4なら概算で横1000px × 縦500px 程度
同じ画面サイズでもピッチが変われば解像度が変わるため、「〇〇インチだから解像度は△△」と決め打ちできない点に注意してください。必ず媒体から指定された実ピクセル数に合わせます。
代表的な画面比・解像度の例(目安)
| 用途・形状の例 |
アスペクト比 |
解像度の例(目安) |
備考 |
| 横長 標準ビジョン |
16:9 |
1920×1080 / 1280×720 |
最も一般的。フルHD素材が流用しやすい |
| 横長ワイド |
16:5 など |
1920×600 など |
ビル壁面の横長ビジョンに多い |
| 縦型サイネージ |
9:16 |
1080×1920 |
柱・エントランスの縦置きに多い |
| スクエア型 |
1:1 |
1080×1080 |
正方形パネル・特殊形状 |
| 大型屋外ビジョン |
媒体により異なる |
実ピクセルに合わせる |
非定型が多く、規定書の指定必須 |
※ 上表は一般的な目安です。実際の解像度・比率は媒体により異なります。
🖼️ 静止画の仕様
静止画は制作・入稿ともに手軽で、ロゴやキャンペーン告知など「読ませる」訴求に向いています。以下は一般的な仕様の目安です。
ファイル形式とカラー
| 項目 |
推奨・目安 |
補足 |
| 形式 |
JPEG / PNG |
写真主体はJPEG、文字・ロゴ・ベタ面はPNGが向く |
| カラーモード |
RGB |
CMYKは色が変わるため不可の媒体が多い |
| 解像度 |
画面の実ピクセル等倍 |
拡大縮小によるボケを避けるためドット等倍が理想 |
| ファイルサイズ上限 |
媒体規定による |
数MB〜十数MB程度が目安。超過時は圧縮 |
可読性のための最小サイズとコントラスト
- テキスト最小サイズ:ピッチの粗いビジョンでは細い線・小さな文字が潰れます。文字は画面高に対して十分な大きさを確保する。
- コントラスト:背景と文字の明度差を大きく取り、暗色背景+明色文字、またはその逆で可読性を確保する。
- 細線・薄いグラデーション:1〜2ピクセル幅の細線や微妙なグラデーションはLED上で表現しきれない場合があるため避ける。
注意:PC画面で綺麗に見えても、実際のLEDピッチでは文字が読めないことがあります。可能なら制作物を実寸相当に縮小表示し、離れた位置から確認しましょう。
🎬 動画の仕様
動画は動きと音で注目を集めやすく、シズル表現やストーリー訴求に有効です。以下は一般的な仕様の目安で、実際は媒体規定を優先します。
| 項目 |
目安 |
補足 |
| コンテナ / コーデック |
MP4 / H.264(AVC) |
最も互換性が高い。媒体によりH.265等の指定も |
| フレームレート |
30fps(または媒体指定) |
24/60fps指定の媒体もある |
| ビットレート |
数Mbps〜数十Mbps |
解像度が高いほど高めに。過度な圧縮でブロックノイズ注意 |
| 尺 |
15秒 / 30秒が一般的 |
ローテーション枠は尺厳守。過不足は差し戻し要因 |
| ループ |
シームレスに繋がる構成 |
始点と終点の映像・明るさを揃えると自然 |
| 音声 |
有無は媒体規定に従う |
屋外・無音環境の媒体は音声不可のことが多い |
※ 数値はいずれも目安であり、媒体により異なります。
制作時のポイント
- 尺は規定にぴったり合わせる(30秒枠なら30秒0フレーム)。
- 解像度は静止画同様、画面の実ピクセルに合わせる。
- 過度な圧縮は暗部のブロックノイズや色バンディングを招くため、ビットレートに余裕を持たせる。
👁️ デザインの可読性
LEDビジョン広告は、通行人が数秒間・遠距離から見るのが前提です。紙やWebと同じ密度で情報を詰め込むと、何も伝わりません。
遠距離視認を前提にした設計
- 要素は絞る。1画面=1メッセージを基本とする。
- 文字は大きく、行数は少なく。ロゴ・キャッチ・価格など優先度を明確にする。
- 余白(マージン)を十分に取り、画面端ギリギリに重要情報を置かない。
白ベタ・高輝度の扱い
白ベタ(画面全面の白)や高輝度の多用は要注意です。LEDは自発光のため白面積が大きいと眩しすぎて視認性が下がり、屋外では周辺への光害や消費電力の増大にもつながります。背景は落ち着いた色を基調にし、白は差し色として使うのが無難です。
アニメーション速度
- 切り替えや動きは速すぎず、読み取れる速度にする。
- 激しい点滅・ストロボ的な明滅は避ける(視認性・規制の両面で問題になりやすい)。
- テロップは流し過ぎず、静止して読ませる時間を確保する。
🌆 屋外・大型ビジョン特有の注意
屋外の大型ビジョンは、屋内サイネージとは前提条件が大きく異なります。視距離・輝度・規制の3点を特に意識してデータを設計してください。
視距離
屋外大型ビジョンは数十メートル先から見られることも多く、文字はさらに大きく、要素はさらに絞る必要があります。細部の作り込みよりも、遠くからでも一目で伝わる構成を優先します。
昼夜の輝度差
屋外ビジョンは昼は高輝度、夜は減光されるのが一般的です。昼夜で見え方が変わるため、明るすぎる白ベタや暗すぎる映像は昼夜どちらかで破綻しやすくなります。中間的な明るさ・十分なコントラストで、時間帯を問わず読める設計が安全です。
点滅規制との関係
急激な明滅・点滅表現は、屋外広告物条例や交通安全の観点から制限・禁止される場合があります。運転者の注意を過度に引く演出はトラブルのもとです。屋外掲出における規制やマナーの詳細は、
屋外広告ガイドもあわせて確認し、媒体・自治体の規定に従ってください。
📦 入稿方法・締切・容量・ファイル命名
データが規定どおりに仕上がっても、提出の作法を外すと受理されません。以下は一般的なルールの目安です(詳細は必ず媒体指定に従います)。
| 項目 |
一般的な目安 |
補足 |
| 入稿方法 |
オンラインストレージ / 専用フォーム / メール |
大容量はギガファイル便等のURL渡しが多い |
| 締切 |
放映開始の数営業日〜2週間前 |
審査期間を含めて逆算する |
| 容量上限 |
媒体規定による |
超過時は圧縮・分割の可否を確認 |
| ファイル命名 |
広告主名_案件名_解像度_尺_版数 |
日本語・空白・特殊文字は避けると安全 |
ファイル命名の実務ポイント
- 半角英数字とアンダースコアを基本にし、機種依存文字やスペースは使わない。
- 版を重ねる場合は末尾に_v2, _v3 と付け、旧版と取り違えない。
- 複数素材を送るときは中身が判別できる名前にする。
🔍 校了・審査
入稿後は、媒体側での内容審査を経てから放映されます。表現内容によっては修正や再入稿が必要になるため、締切には審査期間分の余裕を見込みます。
内容審査で見られる主な観点
- 景品表示法・薬機法などに抵触する誇大・不当な表現がないか。
- 他者の権利(商標・肖像・著作物)を侵害していないか。
- 公序良俗・媒体の掲載基準に反していないか。
屋外広告物審査
屋外ビジョンでは、内容審査に加えて屋外広告物条例に基づく審査が関わる場合があります。輝度・点滅・掲出時間などが自治体基準に沿っているかが確認され、基準外の表現は修正を求められます。屋外案件は特に、規定確認と早めの入稿を心がけてください。
✅ 入稿前チェックリスト
提出前に、以下の項目を上から順に確認してください。1つでも不明点があれば媒体の入稿規定書に戻りましょう。
- 解像度・アスペクト比は画面の実ピクセルに合っているか
- ファイル形式は規定どおりか(静止画:JPEG/PNG/動画:MP4・H.264 等)
- カラーはRGBか(CMYKになっていないか)
- 動画の尺は規定ぴったりか(15秒/30秒 等)、ループは自然か
- 音声の有無は規定に合っているか
- 文字サイズ・コントラストは遠距離でも読めるか
- 白ベタ・高輝度・急な点滅を多用していないか
- ファイル容量は上限内か、命名規則は守れているか
- 締切(審査期間を含む)に間に合うスケジュールか
- 表現内容に法令・権利・掲載基準上の問題はないか
※ 具体的な数値・可否は媒体により異なります。最終判断は必ず入稿規定書に従ってください。
入稿データの作成でお困りですか?
解像度の合わせ方や動画仕様、審査対応など、LEDビジョン広告の入稿でお悩みなら、まずはお気軽にご相談ください。
AIチャットで手早く疑問を解消するか、お問い合わせフォームから担当者にご連絡いただけます。
よくある質問
Q: 入稿データの解像度はどう決めればよいですか?
A: 原則としてビジョンの実ピクセル数(横×縦)に合わせて制作します。解像度は「画面の実寸÷ピクセルピッチ」で決まるため、まず媒体の入稿規定に記載された指定解像度を確認してください。規定がない場合は実ピクセルにドット等倍で合わせるのが基本です。数値は媒体により異なります。
Q: 動画のファイル形式やビットレートの目安を教えてください。
A: MP4コンテナ・H.264(AVC)が一般的です。フレームレートは30fpsが標準、ビットレートは解像度に応じて数Mbps〜数十Mbps程度が目安です。尺は15秒または30秒が多く、音声の有無は媒体規定に従います。あくまで目安で、必ず各媒体の入稿規定を優先してください。
Q: 静止画はJPEGとPNGのどちらがよいですか?
A: 写真主体はJPEG、文字やロゴ・単色ベタが多いデザインはPNGが向きます。カラーはRGBで作成し、CMYKは避けます。テキストは最小サイズとコントラストを確保し、細い線や小さな文字はピクセルピッチの粗いビジョンで潰れやすい点に注意してください。
Q: 屋外の大型ビジョンで特に気をつけることは?
A: 視距離が長いため文字を大きく、要素を絞ります。昼夜で輝度が大きく変わるため高輝度・白ベタの多用は避け、点滅や急激な明滅は屋外広告物条例や点滅規制の観点で制限される場合があります。詳細は屋外広告ガイドを参照し、媒体・自治体の規定に従ってください。
Q: 入稿から放映までどのくらいかかりますか?
A: 媒体により異なりますが、放映開始日の数営業日〜2週間前が入稿締切の目安です。内容審査や屋外広告物審査に日数を要する場合があるため、余裕を持って規定確認・入稿を行ってください。締切・容量・ファイル命名規則は必ず媒体の指定に従います。